また2010年からは、愛媛県内で初めて・四国で2番目にホルミウムヤグレザー発生装置を使った前立腺肥大症の内視鏡手術 (HoLEP) を始めました。 この治療法は、大きな前立腺肥大症治療において、従来法に比べ有効性も安全性も高いとされております。 県内他地域からのご紹介も頂いて、2020年には500例を超えました。(治療成績は第92回日本泌尿器科学会四国地方会にて報告)
同じく2010年からは、愛媛大学の西田智保先生(のちに松山市でご開業)・当院非常勤医師の福本哲也先生の協力を得て、新しい女性泌尿器科手術を開始しました。 腹圧性尿失禁や膀胱脱、子宮脱、直腸脱に対して、経膣的に(おなかを切らずに)メッシュ素材を埋め込んで補強することで治療するTVT法やTVM法を導入し、更に2019年からは、最新のLSC法(腹腔鏡下膣仙骨固定術)の施設認定を取得し、近隣の婦人科の先生からのご紹介も頂き、好評をいただいております。
さらに当科では、腎臓癌・膀胱癌・前立腺癌等の根治手術など、難易度の高いいわゆる"大きな手術"も積極的に行っております。 これらの泌尿器科手術については、日本泌尿器科学会が定める標準手術件数を毎年上回っており、同学会から愛媛県内で12施設しかない基幹教育施設の指定をいただいております。2012年4月からは、より高度な腹腔鏡手術の施設認定も取得しました。このように、毎週愛媛大学病院泌尿器科からの応援医を得て、田舎にいても常に最新の医療をお届けできるような環境整備に努めております。
さらに、排尿ケアチームの 井出 志正 理学療法士が、前立腺全摘除術後の尿失禁に対する新しい骨盤底筋訓練法を確立して、2020年の第33回日本老年泌尿器科学会学会賞を受賞し、県内外から尿失禁でお困りの患者さんがリハビリ目的で紹介受診され、120名超えの方に指導して好評いただいております。
また当科では、透析部門も担当しており、2021年にはのべ106名の患者様に血液透析または腹膜透析を行いました。 さらに適応のある透析患者様には、積極的に腎臓移植手術を御紹介いたしております。
日本透析医学会の教育関連施設の認定もいただいております。(ベッド数28床)
何らかの原因で腎臓の働きが悪くなった人に対しては、血液浄化療法・腎移植法と大別して2つの腎機能代行療法があります。血液浄化療法には、血液透析と腹膜透析の2つがあり、誰かの腎臓を移植してもらわない限り、多くの場合は終生このどちらかの治療法を継続する必要があります。
血液透析とは、腕の血管に太めの針を刺して血液を体の外に出し、ダイアライザー(人工腎臓)を使って血液中の毒素や塩分・カリウム・水分を取り除き、きれいになった血液を体に戻す方法です。通常、透析室で1回4~6時間、週3回行います。
腹膜透析とは、お腹にチューブを埋め込み、透析液を腹膜内に貯留して腹膜内で溶質と水分の除去を行い、一定時間経過後(6~8時間)に排液を行う方法です。通常、この操作を自宅で毎日4回行います。機械を使って、夜間睡眠中のみで行う方法もあります。
当院では、この両者の利点を生かして、週1回の病院での血液透析と週5日の在宅での腹膜透析を併用した治療法にも取り組んでいます。
透析室には28台の血液透析装置があり、医師2名(泌尿器科兼務)・看護師7名・臨床工学技師2名・医療補助者1名が勤務し、2021年には、血液透析計103名・腹膜透析3名の治療を行っています。
氏名 | 武田 肇 |
役職 | 副院長 |
主な専門領域 | 泌尿器科 |
資格・認定など | 前愛媛大学医学部付属病院 講師 医学博士 日本泌尿器科学会専門医・指導医・西日本評議員 日本透析医学会専門医・指導医 愛媛大学医学部臨床教授 |

氏名 | 小川 智子 |
役職 | 医員 |
主な専門領域 | 泌尿器科 |
資格・認定など | 前市立宇和島病院 医員 |
氏名 | 福本 哲也 |
役職 | 非常勤医師(毎週木曜日) |
主な専門領域 | 泌尿器科 |
資格・認定など | 愛媛大学病院泌尿器科 講師 |
氏名 | 河野 玲奈 |
役職 | 非常勤医師(隔週火曜日) |
主な専門領域 | 泌尿器科 |
資格・認定など | 愛媛大学病院泌尿器科 助教 |
・体外衝撃波結石破砕装置(ドルミエ Gemini)
・ホルミウムヤグレザー発生装置(ルミナス・ボストンサイエンティフィック)
・泌尿器内視鏡(診断用、治療用、手術用各種)(オリンパス、ストルツ、ウルフほか)
・内視鏡用CCDカメラビデオモニター 2台(オリンパス)
・超音波診断装置(東芝)
・尿流量測定装置(TOTO)
・膀胱機能検査装置(EDAP)
・血液透析装置 28台
・血液濾過装置 2台
・腹膜透析用各種機器